下染めに使う灰汁づくり

灰汁焼きを担当してくれている家人が、下染めに使う灰汁づくりを頑張ってくれました。
灰汁焼きは、サワフタギと椿の木を燃やして灰を作ります。
庭で灰汁焼きをする時は、消防署に届けて防火用水を準備しなければなりません。

葉っぱはあっという間に燃え上がり、枝はじわじわ燃え、灰になるまでにたっぷり時間がかかります。
半日位かかって、サワフタギは黒ずんだ灰に、椿の木は白っぽい灰になります。いくら早朝の涼しい時間でも、残暑の日は汗だくになっての大変な作業です。

以前、栗山文一郎さんは、父文次郎さんから
「灰汁焼きだけは褒められたものだ。」
と、話していたことを思い出します。
この灰汁焼きが染めを左右すると言いますから気が抜けない作業です。

秋がしのびよる庭のサワフタギの木に、ブルーの実がたくさんつきました。
西王母の椿には、あちこちに大きな実が見えます。
ヒヨドリが巣作りした藪椿のあたりでは、賑やかにさえずっていたヒヨドリたちの姿をあまり見かけなくなりました。巣立っていったのでしょうか。

120回の下染め作業は、残りあと少しになりました。
さんさんと照りつける太陽の恵みを浴びた布は、サワフタギや椿のアルミ成分をしっかりと蓄え黄色くなって、鹿角の彩りに染められる日を待ちます。
大地からの愛おしい贈り物です。