12月から家を留守にし、しばらくぶりに帰ってくると一面の銀世界!
工房はすっぽり雪の中です。
灰汁焼きをしたり、下染めの布の川となったりしていた工房前の庭も、今や、雪、雪、雪・・・。
木々の上の雪もずっしりと重たそうです。
しんしんと降る雪を眺め、汗を流しながら下染め作業を繰り返していた日々を思い出しています。
鹿角の紫根染・茜染の古代技法は、お日様の下で120回も繰り返す下染め作業を欠かすことができません。
下染めに使うサワフタギのことを、鹿角ではニシコオリと呼んでいました。
江戸時代の紀行家菅江真澄は、ニシコオリを
  「野に出でて ひがしこにしこ ほりためて
      染るとぞきく かづのむらさき」
と、詠んでいます。
時が経つごとに鮮やかさを増すという鹿角の紫根染・茜染は、
灰汁汁を使って繰り返す下染めと、本染めとの手間暇を惜しまない根気が生み出す高貴な染め物です。
平成25年から古代技法の下染めに取り組み、日本ムラサキや鹿角アカネで染めた鹿角紫根染・茜染の華やかな彩りの作品を見て頂く時が近づいてきました。