パークホテルの建物を臨む栗山家


平成2年の夏、栗山文一郎さんと奥様ケフさんは、黙々と汗しながら下染め作業を進めていました。
澄みわたった青空がまぶしく、クローバーの緑一面に覆われた庭に広がる布の向こうにパークホテルの建物を臨む栗山家です。

この下染めが、伝統の鹿角紫根染・茜染を守り続けた栗山家の最後の作業になってしまいました。
サワフタギの灰汁汁を入れる大きな桶の底に、乾ききった灰が残っていた光景を今も印象深く思い出します。

パークホテルは、この30日に装いも新たに感動鹿角パークホテルとしてグランドオープンします。
そこで復活展示会を開催できることはとても感慨深く、伝統の染めを守り続けることが自分の責務と語った文一郎さんの言葉の重みを一層強く感じます。

栗山家の古代技法を再現した鹿角紫根染・茜染の万葉の彩りを多くの方々に楽しんでいただけたら嬉しく思います。